「生活が苦しい」と困っている血液透析患者が大勢いる。
「働きたいけど、働ける職場がない」と辛い思いをしている。
血液透析をする人は年々増え続けているが、血液透析患者の中には仕事に就けず、生活苦に陥っている人が少なくない。
この厳しい現実は一般の人々に知られていないので、声を大にして主張したい。
障害を持つ人が普通に就職できて自立できる社会こそ目指すべきだ。
週3回の血液透析を強いられる患者でも普通に働ける環境整備が必要だ。
血液透析患者は全国で33万人
筆者は、一般社団法人全国腎臓病協議会の「2016年度透析患者実態調査報告書」および公益財団愛知腎臓財団の「2024透析患者実態調査」に載っているデータを基に論述する。
血液透析を行っている腎臓病患者は、全国では33万人いて年々増えている。
高齢者が多いのは事実だが、59歳以下の現役世代も決して少なくはない。男性は25%、女性も25%が59歳以下であり、本来なら働き盛りの世代である。
愛知県下の血液透析患者は1万7000人
血液透析患者は全国で33万人いるが、この愛知県下では1万7000人いる。年代的には59歳以下の現役世代は25%なので、愛知県下の現役世代は4000人以上だ。
生活苦を訴える透析患者
血液透析患者は働きにくいこともあり、貧困状態に陥っている人が向きが少なくない。調査によれば「非常に苦しい」「やや苦しい」を足すと、男性の約30%、女性の約20%が生活苦を訴えている。
ということは、愛知県下の血液透析患者1万7000人のうち、生活が苦しい人は5000人以上いるはずだ。
就職できても非正規という就労実態
現在の就労実態を尋ねると、59歳以下の現役世代では、「働いていない」が約30%を占めていて厳しい現実を感じさせる。
就職できていても「パート・アルバイト」や「派遣社員」が多い。「常用雇用」の割合は約30%に過ぎない。
給与所得は300万円以下が半数
このような状況だから、給与所得も低い。300万円以下の人が約半数を占めている。
就労の妨げになっている透析時間
就労の妨げになっているのは、血液透析時間だ。血液透析は、週3回行う必要があるのでこれが障壁になっている。
透析の開始時間
血液透析は多くの人が朝から行っている。なかには17時から行う人もいるようだが、その比率は高くない。
仕事がしたいのに就職できない理由とは
仕事がしたいのに就職できない理由を尋ねると「体調が悪い」が半数を占めている。また「職を探しているが、自分に適した職場がない」「職を探しているが採用されない」も多い。
障害年金では生活できない
生活の頼みの綱は障害者年金で、約80%の人が受給している。
障害者年金は「1級」「2級」が多くて「3級」の人は少ない。「3級」は初診日において厚生年金の被保険者でなければ受給できない仕組みになっている。
その年金収入も、200万円以下が大半で、それだけでは生活が苦しい。
透析患者はまずA型事業所へ
上記のような事情を斟酌すると、血液透析患者は正社員として新規に就職するのは困難だと考えられる。その場合は、まず障害者就労継続支援A型事業所に就職して給与をもらうのが現実的な選択肢であると考える。
血液透析クリニックは、夜間透析を行ってくれるところがある。ちなみに当社(名古屋市東区)の近くにあるクリニックのサイトを見ると、次のようになっている。
つまり、夜間の診療時間を選べば日中はフリーだ。障害者就労継続支援A型事業所ならば、このフリーな時間帯で働くことが可能である。
血液透析患者に対して理解のある障害者就労継続支援A型事業所ならば、次のようなメリットがある。
- 業務内容の配慮を受けられる。
- 通勤時間や勤務形態を相談できる。
- 体調が悪くなった場合にも柔軟な対応をしてもらえる。
RITA(株)は、障害者就労継続支援A型事業所として血液透析患者の職場復帰、社会参加の一翼を担いたい。
2024年12月 開業にあたっての抱負